前回の投稿から結構なブランクが空いてしまいました。
これまでにヘックスパッドと拡張テンキーパッドの2種類を制作し、とくにテンキーの方は60%キーボードと組み合わせて常用しています。
やはり数字をバンバン打ち込むときは電卓感覚で入力可能なテンキーが欠かせません。しかもアローキーも備えているので、表計算との相性は最高。これはほんとにオススメです。
というわけで実用になる自作キーボードプロジェクト第一弾は完了にしてもいいのですが、基板はまだ残っているので、もうひとつ作ってみることにしました。
そうです。分割型です。
分割キーボードのキー数とレイアウト
分割オーソリニアのスタンダードと言えるレツプリは4☓6、HELIXは4☓6+1もしくは5☓6+2、ERGO42は4☓7となっていて、キー数は片手あたり24から32の範囲にあります。
Atack25は25キーですから、少なくとも数の上では同等の機能をアサイン可能です。
問題は列数でしょう。5列ということはアルファベットを並べただけで埋まってしまい、モディファイアを入れ込むことができません。
その分、最上段と最下段に余裕が出ますから、そちらに移動させることにしましょう。
こんな感じです。
スペースキーが見当たりませんが、QMKの機能でLOWERとRAISEの空打ちをスペースに割り振ります。
実は当初は右側の中央寄りに2uキーを置いてスペースにしていたのですが、スペースって両手で打てないとストレスなんです。その事に気づいて変更したのでした。
ハードウェア上の追加要素は微々たるもの
ハードとしてはPro Microを使っているので、とくに機能的に問題となる部分はありません。
こんなこともあろうかと未使用ピンなどは基板に引き出してあります。
ただし、分割キーボードによく使われているTRRSもしくはTRSのジャックを実装するスペースは用意していませんでした。
なので、基板外に固定する方法を考えなくてはなりません。テンキー用に設計したケースに追加工すれば簡単に済ませることができそうですが、どうせならと新たに筐体を起こしてみました。
今回は薄型を気取った板っぽい形状です。アクリルのサンドイッチ構造を真似て、基板をプレートと下部ケースとで挟み込むことにしました。
Pro Microをソケットから外してはんだ付けに変更することで数ミリ薄くし、その脇にTRRSジャックをはめる足パーツを付けます。
ケース手前側は足がないので、奥に向かって程よい傾斜が出来ます。その傾斜角通りに足も傾斜させます。このあたりの行き当たりばったりな、いや柔軟な設計が許されるのは3Dプリンタならではでしょう。
というわけで、出来上がったものが以下になります。底面からプレート上面まで約12mm。スイッチ部分から露出するロープロファイルはスッキリしていいですね。
QMKのビルド
Atack25 Splitは光り物のないシンプルな仕様なので、レツプリを参考にして比較的簡単に必要なファイルをでっち上げられます。
配列と使用ピンが異なるレツプリと言ったところですから。
ちなみに左右の通信はシリアルとしました。なのでTRSで十分だったりしますが、なんとなくTRRSを付けちゃいました(繋いでるケーブルはTRS)。
ごく最近、ないんさんがserial.cを改良されたそうなので(素晴らしい!)、いずれ入れ直すかもしれません。メリットあるかな?
肝心の使い勝手は?
端にモディファイアが置けないという制約から、中央に配したLOWERとRAISEを親指シフト的に使うことになりますが、これは案外イケます。
本来のシフトは左下にあるため、ZやA、Qといった直上のキーとの同時押しがしんどくなるのは仕方ありません。これには、QMKのオートシフト機能をイネーブルにして、長押しで大文字になるようにして凌ぎます。
使い勝手としては、特殊配列未経験者にとってはモディファイアよりもむしろオーソリニアの配置に慣れるかどうかの方が大きいと思います。一般的なスタッガード配列のキーボードとオーソリニア配列では指の動きがかなり違うので、慣れるまでは打ち間違えが多発します。逆に慣れてしまうと普通のキーボードが打てなくなります(自分の場合)。
そんなわけで自分の感覚としてはPlanckとそう変わりはないです。分割されていることで打ちにくいということはまったくありません。
とはいえ、他の分割キーボードと比較して利点があるかどうかはなんとも言えません。そもそも慣れてしまえばどれでも使えるような気がしますし。
このキーボードの最大の特徴は、正方形が2つというユニークな外観でしょう。真四角の可愛らしさというのは確実に存在します。
また、中3列のアルファベットの横になにもないという配列がもたらすスッキリ感もなかなかよろしいです。
くっつけて並べた際のギッシリ感も悪くないですね。
※この記事はもちろんAtack25 Splitを使って書かれました。
※Atackのスペルが間違ってるという件は前回の記事を参照ください。