Atack25 : 16進数入力用Hex Pad

ほとんどネタで作ったと言ってもいいヘックスパッドですが、来るMake Faire Tokyo 2018での展示に向かって完成度を高めることにしました。

以前に作ったものには満足のいかない点があって。

まず、プレートのスタビ用の穴が180度間違っていて、無理やり取り付けていました。

さらにプレートのプリントの質が悪く、赤いフィラメントと相まってなにやら筋肉が露出した進撃の巨人的なキモさが出てしまってました(写真自粛)。いくらキーキャップで隠れるとはいえ、ちょっとこれはないなと。

せっかくなので、プレート厚も増やすことにしました。Atack 25 Splitで試した5mm厚のプレートが思いの外しっかりしていたので、こちらも同じタイプで行くことにしました。

 

5mm厚というのは、Cherry MXのスイッチをプレートにはめた際にちょうど基板に届く距離に等しくなります。つまり、5mmにすることでプレートと基板を一体化することが出来ます。ただし、基板面にパーツなどが露出していると当たってしまうので、それらを避けるように設計する必要があります。

スイッチ部分は1.5mmで十分なので彫り込むのですが、さらにスタビライザーの部分についても針金が出っ張ってきますので、それに対応する必要があります。

これらの肉抜きをしながら、いかに強度を保つかというのがプレート設計の肝になってきます。

プレート作りはクラウドサービスを利用しながら4段階を経て完成します。

 

1. レイアウト作成

まずはじめに下記サイトでキー配列のデータを作成します。

http://www.keyboard-layout-editor.com/

今回の例は以下のページで見ることが出来ます。

Atack25

 

 

2. 2Dプレートデータ作成

次に、プレート作成サービスを利用します。

http://builder.swillkb.com/

リンク先のPlate Layout欄に、上記http://www.keyboard-layout-editor.com/のRaw Dataを貼り付け、開けたい穴のスイッチタイプやスタビライザーのタイプなどを選ぶと、必要なプレートの2Dファイルを得ることが出来ます。

ここで前回作成時に失敗したのがスイッチの向きやスタビライザーの向きです。

Atack25は、エンターやプラスなどのテンキー用2uキーをスタビライザー付きで実装可能とするため、当該部分を90度回転させています。当然、プレートも同様の形にくり抜かなければなりません。

キーを回転させるには、Plate Layout欄の該当するキーの箇所に{_r:90} を挿入します。

スタビについては、{_rs:180}として反転させる必要がありました。

正しいプレートデザインがこれ。

 

データをDXFなどのファイルに書き出して、次の工程に入ります。

 

3. Fusion360による3Dデータ作成

 

Fusion360はとーーーっても高機能な3D CAD用ソフトです。なので使い方は割愛。

チュートリアルなどあちこちのサイトにありますので、参考にしてください。

できあがりはこちら。じつはこれ、2uの位置が違ってます。別のレイアウト用のものですが、基本的には同じ構造なのでご勘弁を。

やったことと言えば、ケースに合うように外形を作り、取り込んだ2Dデータと合わせてプレス/プルして5mm厚にし、ネジを通過させる穴を開け、スイッチ周囲のみ1.5mmまで掘り下げただけ。

 

 

 

4. 3Dプリンタによる造形

素材はPETGが向いているようです。ABSでももちろん良いのですが、プリントのしやすさではPETGに及びません。

ちなみに今回使ったのはPETGはDas Filamentというドイツのフィラメントです。

ベッド温度も80度程度でよく、部屋の温度をこれ以上上げたくない猛暑に優しいです。

ワーピングがほとんどないので歩留まりが良いのがなによりありがたい。

 

 

ちなみにPETGは糸引きが多めなので、出力後にヒートガンなどで軽く炙ってやるといいです。

また、3Dプリントではベッド面が俗に言うエレファントフットになって拡大するため、穴が若干狭くなってしまいます。

そのままではスイッチが入らない/入りづらくなりますので、ヤスリがけを行う必要があります。

 

プレートの基板側は設計通りに彫り込まれ、スタビライザーの針金部分などが干渉しないようになっています。

 

 

プレートを作り直すにあたって、スイッチのはんだ付けをすべてやり直すことになります。フルキーだとかなり面倒ですが、24個なのでたいしたこともないです(嘘。やっぱり面倒)。

前回はめていた黒オレンジのキーキャップはrowが合ってませんでした。そもそもA~Fを盛り込んだテンキー配列を持つキーキャップなんぞ見たこともないわけで。そんな変わり者はいないってことです……。

なので、ここはユニフォームなDSAで行くことに。シンプルでいて洗練されたレジェンドデザイン、なおかつPBTのDye Subで丈夫なGraniteを使いました。

 

ヘックスパッドの実用性は?

さて、ヘックスパッドはめでたく完成ということになりましたが、こんなもの作って実用性はあるの?と思われるかもしれません。

そもそも作った自分自身がそれほど実用性を考えてなかったというのが正直なところです。

ところが、MFTの展示中にDiscordのお仲間から意外な使い道を教えてもらいました。

それはデザイナーのお仕事です。デザイナー、とくにWeb系デザイナーは色指定にしばしばカラーコードを入力しますが、そのコードが16進数なのです。

普通のフルキーボードで16進を入力する際に何が嫌って、数字はテンキーで打ちたいのにA~Fはアルファベットに戻らなくちゃならないことです。

A~Fもバラバラの位置にあるので、なんかしっくり打つことが出来ません。

そんなとき、ヘックスパッドはきっと活躍してくれますよ。

 

投稿者: monksoffunk

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