« 2006年11月 | メイン | 2007年01月 »

2006年12月09日

●既存プロバイダはFONを受け入れるしかない

モデムの無料配布がスタートした。別途送料がかかるのは仕方ないにしても、0円の癖に代引き手数料の謎というなかなかの話題を振りまいているようだ。日本全国一律の送料ということがネックになり、運送会社のシステム上の都合から送料着払いという選択肢が使えなかったということなんだと思う。

それはともかくである。先日のエントリーにも書いたように、ぼくは既存の大手プロバイダがFONに過剰反応を示すことはないと考えている。理屈の上でユーザーがFONと契約しないように促すことは可能だし、すでに契約してしまったユーザーに何らかのアクション(極端な話をすれば、強制的に解約させられたり、裁判を起こされたりということ)を起こすことは至極まっとう、きわめて当たり前の企業行動に思える。

実際、えぴたふ氏がお骨折りになった「■FONが使えるプロバイダを求めて 」によれば、多くのプロバイダがFONの利用は禁止という見解を示しているそうだ。ただしこれはあくまで現時点での見解であり、ぼくはじきにFONを受け入れるプロバイダが増えてくると睨んでいる。

その理由の一つは、前回も述べたようにプロバイダ業が過当競争の時代にあることだ。たとえば、FONが提携を発表したBB.exciteの存在が他社には大きな壁となるはずだ。既得権益を守ろうと、既存のプロバイダが珍しく手を結んで一様に「FON禁止」を合唱したところで、BB.exciteのように一つでも突破口があればそれは意味を成さなくなる。Bフレッツに入っているユーザーであれば他社からBB.exciteに乗り換えることなどたいした手間ではないし、ADSLなどの別種サービスの利用者ならば、BB.exciteとBフレッツの同時申し込みで大幅な一時割引などのメリットも享受できるわけで、この一件が引き金になってユーザーの移動が起こりかねない。いや、むしろユーザーは乗り換えの口実を待っていると思った方がいいだろう。新聞でもプロバイダでも乗り換えた方がお得という妙な世の中であり、それは周知の事実なのだから。さらに、FONは各プロバイダに対してネゴシエーションを行っているようでもある。となると、おそらくプロバイダ各社は戦々恐々として他社の動向を探っているはずだ。大手のいずれかが「FON対応」の旗を掲げた瞬間に、「FON禁止」プロバイダは苦しい立場に置かれることになるだろう。

プロバイダがFONを許容するだろうという推論のもうひとつの根拠は、今回日本で募集されるのが「Linus(ライナス)」と呼ばれるユーザー形態に限定されていることだ。Linusは自らアクセスポイントを提供し、また他ユーザーのアクセスポイントを使用する権利を持つユーザーであって、つまり、そもそも光なりADSLなり何からのアクセス回線を持っていることが条件になる。ということは、ブロードバンドの接続サービスによって主に利益を得ている多くのプロバイダと、現在日本でスタートした形でのFONとは、無線LANサービスの部分では市場を食い合うことになるものの、本業として真っ向から競合するということにはならない。

FONと敵対することは、リスクは多く利はない。反対にFONを許容することは、リスクはなく損が少々生じる。しかし、後者のデメリットは、早々にFON対応を謳うことでメリットに転化することも可能だ。自社の無線LANアクセスポイントにFONのアクセスポイントを加えることもできるだろう。そうすればサービス内容の差別化も図れる。

これでもFONを拒絶することが出来るプロバイダがどれだけいるというのだろうか。

2006年12月05日

●FONの面白さ、あるいは腹黒さ

「世界最大のWiFiコミュニティ」がいよいよ日本上陸。
簡単に言えば、エンドユーザーであるはずの各自が無線LANのアクセスポイントを設け、FONのコミュニティに対して開放し合いましょうっていうもの。とても共産主義っぽい考えだし、オープンソースな思想にも馴染みそうに思える。世界規模で展開を図っている最中で、FONコミュニティのメンバーなら世界中にちらばるアクセスポイントを利用できる。mixiなんかとはまた違ったコミュニティ作りのワクワク感が味わえそうな気もする。

ただし、障害もある。
ここで問題になりそうなのは、プロバイダの利用規約との兼ね合いだ。
だいだいのプロバイダは、第三者にインターネット回線を利用させることを禁じている。
跳箱さんの「説明になっていないし、問題が多い。」は、

日本のISP契約のうち2000万契約以上でFONの利用は規約・約款違反になる可能性があると指摘して間違いでは無いでしょう。少なくとも、@Nifty、OCN、Yahoo BB、BIGLOBE、DION、ぷららをISPとして利用している方はFONのサービス利用について、きわめて慎重に判断されるべきでしょう。

というまことに適切な指摘だ。法的に考えれば、約款を無視してFONと契約を結ぶことはリスクを背負い込むことを意味している。そして、FONはプロバイダとユーザの間に交わされている契約についてはなんら関知しない。分かっていて目を瞑っているようなもんだ。

もっとも、これはこれでありなのかもしれないとぼくは楽観的に考えている。
プロバイダの約款にありがちな第三者への回線提供を禁止する条項は、要するに再販されたり、そこまで行かなくても、お隣さんと折半で共有回線にされたりすることへの歯止めだろう。一日に2、3時間、メールやwebを楽しむような一般的な家庭においては光ファイバーの帯域は無駄に広いわけで、シェアしたって困らない人たちの方が多いわけだけれども、それをされたら困るのだ。誰って、プロバイダさんである。2軒で1回線なら半分に、3軒で1回線なら1/3になっちまう。オマンマ食い上げである。もちろん、サポートの煩雑さを懸念してということもあるだろう。

けれども、時代はもうそういう段階にはないように思うんである。
光ファイバーが入り込んでる家庭などまるで珍しくないし、実際、さほど大きくないうちのマンションもBフレッツのファミリータイプはお安い料金になっているから、それだけの契約戸数があるっていうことになる。要するに何が言いたいかって言うと、PCを使いそうなおおかたの家はブロードバンドに加入していて、もはやこれ以上ご新規さんを獲得することは難しいってことだ。これからは、いかにいまの客を逃がさないようにするか、いかに他社の客をかっさらうかに社運は掛かっている。ここで、客にイヤな顔のひとつでも見せようもんなら、他所に行ってしまうのは目に見えている。

となれば、だ。たとえFON利用が約款に抵触したとしても、プロバイダが客に難癖をつけることは出来ないんじゃないかと思うのだ。不用意に進入できる無線LANのアクセスポイントが野放しになっている現状を考えれば、それよりはまだ何かしら管理されたFONのほうがマシとも言える。これはあくまでセキュリティとしてのレベルで、マシっていうことだけれど。
ともかく、世界の投資家を相手に金を集めまくるFONを羨んではみても、プロバイダは結局何も出来ずに指をくわえて見ているだけ、もしくは見て見ないフリをするだけ、というのがぼくの予想だ。