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はじめの一尾、もとい二尾

ここ20年ほどになるだろうか。うちの近所ではあまり大きなお祭りはない。
小学生の頃には、長い夏休みに飽きたガキンチョはもちろんのこと、カラオケと酒とおしゃべりが大好きなそこいらのおばちゃんもはしゃぎまくるような盆踊り大会が行われたこともあったけれど、それはいつの間にかなくなってしまった。ヤクザなみなさんの商売が立ちゆかなくなったのだろうか。
そんなわけで大人になってからは地元のお祭りなどないものだと思っていた。

だから、
「神社のお祭りに行くけど」
と母から電話があったときにもあまり期待してなかった。孫と一緒に行きたかったのだろう両親と、妻と娘の5人で氏神さまのところへ向かう。歩いて5分ほどの近場にあるその神社は、かなり小振りな境内ではあるものの、定石通り高台に位置していてそれなりに荘厳な雰囲気を醸し出している。小さい頃からここは嫌いではなかった。

目的の場所につくと、目を疑うような光景が広がっていた。境内には特設ステージが設けられてカラオケ・タイムに突入。その奥には夜店が並んでいる。ここがこんなに賑わうのは年始参りの時と今日ぐらいのものだろう。もっともそんな喧噪はちっとも嫌じゃなかった。非日常的な世界を味わい、娘も目を輝かせていた。

「何が欲しい?」
母が孫娘に買ってやりたいとばかりに尋ねてみるものの、娘の方は初めて見るものばかりで何がどうなっているのか把握できていない様子だ。食べ物はとくに興味がないようだったので、
「お魚さんは?」
と提案してみる。まんざらでもないようだったので、金魚すくいのコーナーに移動し、久しぶりにポイを手にする。

ちょうど数日前に、「金魚すくい王決定戦」とかなんとかいうテレビ番組をやっていたことを思い出すが、上手なすくい方はすっかり抜け落ちている。適当にやっていたら、黒出目金をゲット。が、そこですべてを使い果たし、すぐに破けてしまった。

2匹まではただでくれるらしく、結局、もう一匹和金をもらった。家に帰る途中、ダイソーで水槽がわりに使えるものを探す。どうもこれというものがなく、大きめの丸いガラス製のボールで妥協した。家につくとさっそく金魚たちを簡易金魚鉢に入れてやる。なんか黒出目の方は弱っているようで、ほとんど動かない。だから俺にも掬うことが出来たのだろう。

置き場所にさんざん悩んだ結果、ベランダにとりあえず置いてみることにした。が、これが第一の悲劇を生むのであった。<つづく>

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