自作キーボードにハマってくると次第に気になってくるのが打鍵音とか打鍵感というやつです。いわゆる「打ち心地」に直結するこれらの要素は、基本的にケースの構造に左右されます。
比較的安価なキーボードキットでは、基板をトッププレートとボトムプレートの間に挟む形のサンドイッチ構造を採用しています。素材としては、基板はもちろんPCBとなり、上下のプレートはアクリルもしくはPCBが使われます。最近のキットにPCB製プレートが多いのはコスト的にアクリルよりも有利だからです。Zincはアクリルありきのデザインですのでコストが上がってもアクリルにこだわっています。
アクリルの利点は外観の美しさももちろんですが、適度な硬さや剛性が得られる側面も無視できません。通常用いられる1mmから1.6mmのPCBは柔らかく、力を加えると良くも悪くも簡単にしなってしまいます。このしなりが程よい打鍵感・打鍵音を生むこともあると言いますが、個人的にはそこまでその恩恵を感じたことはありません(悪くはないです)。
打鍵音・打鍵感については、いまや多くの人たちが常識的に行うようになっているスイッチのルブによってかなり改善されます。打鍵による音の発生源なのですから当然ですね。しかし、いくら巧みにルブを施したとしても打鍵音はします。近年流行りのサイレント系スイッチにしても、残念ながら音がなくなることはありません。そして、この小さくなった音がまた気になってくるわけです。
音を遮断する常套手段は、空気の振動を極力外に出さないこと。つまり音の発生源を囲ってしまえばよいのです。というわけで、Zincはお洋服を着せるとまず一段階静かになります。キーを打った際に生じる音の高域が減ったように聞こえます。つまり、アクセントプレート(キャンディプレート)はサンドイッチの隙間から漏れていた音の一部分をシャットアウトしてくれます。
次の動画は、アクセントプレートありなしの比較です(左があり、右がなし)。スイッチはZealのサイレントリニアのSakuriosを使っています(未ルブ)ので本当はかなり静かですが、動画では音量を大きくしていますのでびっくりしないでください。
Zincのアクセントプレートの打鍵音への影響を検証してみました。わかりやすいようにかなり大きめにレベルを上げてます。プレートを入れると音が低くなっているので制音効果はありますね Switch : Zeal Sakurios non Lubed pic.twitter.com/3eghX3aHtB
— monksoffunk(もんく)Zinc/Attack25販売中 (@monksoffunkJP) July 5, 2019
さらに、ハイプロプレートを装着することでもう一段階打鍵音を改善することができます。スイッチハウジングの上部から漏れている音もそれなりにあるということになりますね。
下記のビデオは、ルブ処理をしたGeekMakerのCreamyスイッチのYellow軸(55g)を使い、キャンディプレートとハイプロプレートを装着したZincの打鍵音です。途中に登場する白いプラケースの60%は、スイッチプレートレスでルブしていないGateron黒軸という打鍵音に無頓着なボードになります。
キャンディプレートとハイプロプレートを装備したZincの打鍵音 途中、比較用になんもしてないプラケース60%挟んでます pic.twitter.com/xG0NR3TGm2
— monksoffunk(もんく)Zinc/Attack25販売中 (@monksoffunkJP) July 30, 2019
どうでしょう? それなりに悪くない打鍵音になっているかと思います。
サンドイッチ構造だと納得行く打鍵音を得ることは難しいと考えがちですが、どうしてどうして結構改善できますので気になる方はぜひお試しを。
ちなみに、アクセントプレートもハイプロプレートも3Dモデルのデータを公開しています。3Dプリンタさえあればご自身で出力できますよ!